「…帰ってくるんですか?」


思わず声が震えた。もう会えないと思っていたあの人が、またここに、池袋に帰ってくる。

その情報源が闇医者というのが実に怪しいところだけれど、この闇医者、自分の騒がしい幼なじみについては嘘を吐かない。とくに、その幼なじみたちに関わりのある人の前では。


「そうみたいだよ?会いに行くんでしょ?」

「新羅さん、私を信者の方々と一緒にしないでください」

「ごめんごめん」


あの人を神だなんて言うつもりは毛頭ない。ただの人間が大好きなだけな人間だ。正しいことも多いけど、間違いだってたくさん言う。

私が知っている人の中で平和島さんの次に人間らしい。本人は気付いてるのか知らないけれど。

セルティがPADをこちらに向けてきた。相変わらずの高速タイピングには尊敬せざるをえない。


「《会うなら、くれぐれも気を付けて》」


短く、それだけ。

表情のないセルティはその文面でしか気持ちを示せない。それでもその短い文章の中に、私を気遣うのが見えて少し泣きそうになる。

同時にあの人の信用の無さを痛感してしまうわけだけれど。


「ありがとセルティ。覚悟ならたくさん出来てるから何があっても大丈夫」


あの人に裏切られてもいいし、泣かされたって構わない。どんな酷いことをされても側にいると誓おう。

誰も彼を信じてくれなくなったとき、最後に私だけは信じてあげよう。

彼の甘い囁きに惑わされ、魅了され、虜にされてしまった私は信者にはなれずに依存してしまったから。だから今度は彼が、私に依存すればいい。




(だから甘く囁くのだ)(おかえりなさい、臨也さん)


20140509
お久しぶりです、デュラララ!!2期おめでとうございました

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