天気予報では雨なんて言ってなかった。お天気お姉さんの嘘つき!!とか今更思ってもしょうがないけど、とりあえずビニール傘を買うのに消えた500円が惜しい。

学校の帰り道、突然降ってきた雨。例のお天気お姉さんが「今日の降水確率は10%です!」なんて効果音がつきそうなほど可愛らしい笑顔で言ってたから、まるっきり信じてしまった。あー、こんなことになるなら結野アナの天気予報見とけば良かった。結野アナの予報の正解率ハンパないかんね!

それはともかくとしよう。ともかくとしちゃダメなんだけど、もっと気になるというか重要というか危険というか。あ、決して私自身が危険なわけじゃない。その……なに?


「大丈夫…ですか?」


危険なのは、雨のせいで一気に冷え込んだにも関わらず傘もささずにぐったりとしているお兄さん。同い年か、ちょっと年上。

近道という名の路地裏で人に会うなんて思ってなかったし、これはちょっとやばいんじゃないかな?あんまり濡れていない私でさえ、鳥肌ものの寒さ。その中でひとり…?


「どうしよう…病院?」
「余計なこと、しなくていいから」


え、ちょっと態度悪くない!?なんて言葉より良かった意識あるんじゃん!って思った私は相当なお人好し。あーでも本当に良かった。これでなにかあったりしてたら(縁起でもないけど)トラウマだね。雨の日歩けなくなっちゃう。

でもこれどうしよう。意識あるって確認できたから帰っていいの?放っておいて…いいの?


「あの…!!」


彼がそっと顔を上げる。珍しい青い双眸が、私を捉えた。いや、捕らえた。


「良かったら私の家に来ますか?」


はて。私は今なんと?あれ?最初はカフェかファミレスに行く予定だったんだけど…。そしてこれは相当痛いぞ私。え、どうしよう本当に。穴があったら入りたい。

そんなことを思ってたわけだけれども彼は驚いたあとくすくすと笑っている。返答もなしにこれはちょっと失礼じゃない?あっでも笑ってるってことは痛い子の称号剥奪?………お人好し加減に笑ってるだけか。


「お言葉甘えさせてもらおうかな」
「ですよねーこんな怪しい女の家なんて…え?」
「よろしくね、えーと」
「華奈です」
「そ。俺は神威」


………どうやら大きな捨て猫を拾ってしまった、らしい。




(華奈ってお人好しだよね)
(ほっといてください)

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*20121010
猫といえばこやつです





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