昨日から、神威がおかしい。具体的にって言われたら難しいのだけれど、なにかがおかしい。

そう、例えば


「ねぇ神威、」

「(ぷいっ)」


速攻で目を反らされたのは何故でしょう。泣いていいですか!?昨日泣いたのがいけなかったのかな!?でもそんなんで?っていうのが本音。

私は確か、ちゃんと神威にもお礼を言ったはず。これも人付き合いのためとかそんな表面的なものじゃなくて、もっと本気の、感謝のこもったお礼。を、したつもり。


「ねぇねぇ神威どうしたの?」

「………なんでもないよ」

「学校、行っちゃうかんね?」

「勝手に行けば?」


ご、ごもっとです神威さん。でも昨日まではいってらっしゃいって言ってくれたよね?

これは本格的になにか私がしてしまったのかもしれない…な。



♀♂



普通に学校来ちゃったけど良かったのかな?みんなと話しててもずっと神威のことが頭の中から消えない。今なにしてるんだろーとか、私なにしたんだろーとか。そんなことが頭の中でぐるぐる。

おかげさまでみんなには心配されるしなんという負のサイクル…!というかあれね、昨日の今日だからみんな過剰に反応しすぎです。


「華奈さん、ずっと好きでした。つきあってください!!」

「………(神威に悪いことしちゃったかな)」

「華奈さん?」

「え?あ、ごめんなさい!考え事を……」


同じ委員会の中村くんに呼ばれた先は屋上で、3Zの私にはもう行き慣れた場所。晋助のお気に入りのタンク上には実はクッションなんかが置いてあって、私たちもちょくちょくサボるときに使わせていただいてる。

さぼるといえば、神威は学校どうしてるんだろう。学ランだったから同じ三年生だと思うんだけど(神楽の兄故に同い年以上なんだけど、大学生で制服なんか着てたらさすがに引く)私がいないと家から出ないし……。これは本格的にさぼりと見た。


「華奈さん…!」

「うぇ!?あ、はい!」

「付き合ってください!!」

「…………え?」


やだなー冗談はやめてくださいよーとか言える雰囲気ではない。目が本気だ。………断るのを前提に考えてる、ね。なんでだろう。別に好きな人がいるわけじゃ……。


「ごめんなさい…」


好きな人。思い浮かんだのはあの居候でした。



♀♂



「神威!!!」

「な、なに?」


帰ってきて一番に名前を叫んだのだから、びっくりされるのは当たり前。でも好きって気づいたから、すぐ言いたいの。


「今日中村くんに告白されたの」

「……誰?その中村って」

「同じ委員会の人」

「ふーん…で、返事したの?」

「したよ。ごめんなさいって」


は?って顔されても気づかないフリ。神威からしたら、この報告の意味がわからないだろうから。

告白されたって話をしても、断ったって話をしても。いつもと変わらない様子だからちょっと悲しい。どうせ脈なしなんだろう。そりゃ、出会ってすぐの女だし、まだまだ知らないことたくさんあるもんね。

それでも


「神威、あのね」

「うん…」

「中村くんに告白されて気付いた。私神威のことが好きみたい」

見開かれた目に、どんな意味があるのだろう。考え始めたらきりがなくて、それなのにポジティブなことは考えられない。軽蔑されてるんだろうな、引かれたんだろうな、って。

だからね、神威。神威が私を抱きしめたとき、なにがなんだかわかんなかった。


「俺も、華奈が好きみたい」


夢みたいなその台詞に、溺れたんだ。




(見つめ合ったあと、聞こえたリップ音)
(それが私と彼によるものだなんて信じられなくて)

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*20121024
甘いのは書いてて恥ずかしいからあっさりしちゃう。あっさりしててもすでに恥ずかしい←





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