甘い言葉は案外身の回りにだって転がっている。いや転がられているというべきなのか。とにかく彦四郎の顔はもう真っ赤で、俯いたって何したって隠しきれないほどだった。う、え、変な言葉しか出て来ない。
「彦四郎?」
確信犯なのかそうじゃないのか、平太は当たり前のように顔を覗き込んできた。この四年で大分背が伸びたものだ。一年の時なんか同じくらいか、もしくは彦四郎よりも小さかったくらいであったはずなのに。今は頭ひとつ分も彦四郎よりでかい。
そっと肩に触れる手を、拒まずにいたのは頭が混乱しまくっているからであって。決してこの事態を受け入れているわけではない。決して。
「彦四郎、」
顔が少しだけ近付いた。彦四郎はぅわ、と情けない声を上げて目を閉じる。同時にかたく目を閉じた分体にもそれなりの力が入ってしまう。それは彦四郎の肩に置かれた手越しに平太に伝わっただろう、平太は少しだけ驚いたあと、ふっと笑って。
「かわいい、なあ」
反論するよりも早く唇が重なるから、彦四郎の頭は脳がとろとろに溶けていくのを止めることができなかった。



「だあいすきだよ」




















甘々平彦
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