×平滝夜叉丸

滝夜叉丸が好きだよ。ぼろぼろと泣きだす喜八郎なんて、私は、知らない。
「好きなんだ。滝夜叉丸が。好きなんだよ、ずっと、ずっと」
いつもと変わらない表情で、どうして私に告白しながら、ぼろぼろと、泣いているんだ。
わからない。わからなくって喜八郎の頭をそおっと撫でた。そうしたら途端に、喜八郎がくしゃりと顔を歪めて泣きだした。小さく震えてる。
「好きだよ。滝夜叉丸」
喜八郎。私は名前を呼ぶこともできなかった。目の前の喜八郎は泣いている。ふるふる震えて泣いている。
なんでだよ。
私はやっぱりなんにも言えなかった。なんにも言えなくて、私はただひたすらに喜八郎の頭を撫でていた。ほろほろと頬が暖かい。どうしようもなくて熱くて、ひゅうと呼吸するのも、辛い。
喜八郎の手が、するり、私の手に伸びた。くしゃりと顔をゆがめて、ひっくひっくと鳴いたまま、私の頭を撫でる。やっぱり私は何も言えなくて、唇を噛み締めた。
一体、どうしたんだ。
言えずに、私は俯いた。気付けば泣いていた自分が何故だか情けなくて、申し訳なくて、もう、仕方がなかった。



×田村三木ヱ門

喜八郎の髪がさらりと動いて、三木ちゃん、名前を呼ばれる。その呼び方いい加減やめろよとかそういうのはもうどうでもよかった。唇を重ねると、自然に笑いがこみ上げる。喜八郎も心なしか笑っているように見えた。ひたりと頬に触れると、少しだけ、冷たい。
「ねえ喜八郎」
胸元に滑り込む手は、いつもよりも冷たく感じられた。黙ってと喜八郎はもしかしたら言いたかったのかもしれない、でも聞く耳なんて持たない。常日ごろの喜八郎がそうであったように。意地が悪いねと、拗ねたような声が聞こえたような気がしたの。
「好きだよ」
唇ではなくて、今度は目元に喜八郎の唇が触れた。擽ったくて私は目を閉じ笑ってしまったけど、一瞬見えたその口元は、確かに笑みを含んでいた。



×斎藤タカ丸

「ごめんね」
「タカ丸さん」
「ごめん」
「どうして謝るんですか」
「ごめんよ」
「タカ丸さん」
「綾部くん」
「顔を」
「ごめんね」
「あげて」
「ごめん、本当の本当にごめん、ね」

「僕は、君を好きになることは出来ない、よ」

(脳裏にあの人の姿が浮かんだ。私は何も言わなかった。ただ出来ればどうかあの人にその想いが伝わりますように、そう考えた私のなんて健気なこと)









なんかできちゃった綾部×四年生。こりゃ三年生いけるんじゃなかろうか…。

滝夜叉丸→こいつぜってーにぶちんだろ!という偏見がある。綾部は苦労してるといいよ。
三木ヱ門→本気なのかどうかわからない電波な綾部にたじたじしてほしい。想いが通じるとこんな感じで甘くなります。
タカ丸→ごめんタカ丸受け無理やった…仕方ないからタカ(くく)←綾部にしたごめんよ。
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テーマ「人外ファンタジー」
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