涙が出てしまえば、それはそれでいいと思っていた。それならそれで貴方を引き止められる。そんな俺の考えは間違いだったんだろうか。とても辛く悲しそうな貴方の顔。
「すまん」
そんな顔しないでって。俺はそんなのを求めていたんじゃないの俺は、俺はね。
「なかざ、…せ、」
触ったほおはあったかい。貴方の泣いた姿を、私、いや俺は初めて見ました。ずっと一緒にいたのにね、でも見れて嬉しかった気がする俺は阿呆です。そして果報者。冷たくなってく体にあったかいほおは心地良い。
「なか、」
ねえいつか俺たち巡り会えますかね。巡り会えたらいいなあ。今はこんな時代だけれど、きっといつか、幸せな時代がくるって誰か言ってた。貴方も言ってた。なら希望を持ってもいいよね。俺も幸せになりたかった。貴方と幸せになりたかったよ。ああ。
いや、今も十分幸せすぎるんだけどもね。
「さんのすけ」
泣いたら口角が自然に上がってっちゃうなんて初めての体験だよちくしょう。
ごめんなさい、ごめんね。さよおなら、さよおなら。
「ちょう、じ」














幸せな死はきっと貴方の体温でやってくる。
そう願いたいなさよおなら。
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