「俺の父ちゃんと母ちゃんが死んで俺が生き残ったのは運命だった」
乱太郎もしんべヱも、何も言わなかった。
きり丸も前を向いたまんま何も言わなかった。
お互いに繋がる言葉は無かった。
「俺、」
漸くきり丸が呟いた。
乱太郎としんべヱは顔を上げた。
「俺と乱太郎としんべヱが出逢えたのは、奇跡だった」
乱太郎としんべヱは笑った。
きり丸も振り向いて、笑った。
世界は運命と奇跡でできている。
「残酷だよな」とも「でもいいんだ」とも言ってくれなかったのが救い。
「そんなことない」とも「私たち、僕たちは感謝してる」とも言ってくれなかったのが救い。
互いの沈黙が救いになる。