人気なんていらなかった。元々目立つことすら嫌な性分、自分は漫画の片隅にひそりとたまに居座っているような存在でありたかった。それが今やどうしたことか、同学年一の人気者になってしまった。
あまりある羞恥や古株である伊賀崎・神崎への罪悪感ったらそりゃあもう。
勿論口にすれば口にしたらで各々思うところが出来るだろう、作兵衛は人気があがるよりも人間関係が崩れる方がいっとう嫌であった。特に神崎や次屋が離れていってしまうよりは自分が人気がある方が随分いい。幸いこの学年は人気をまったくもって気にしない学年であった、これが六年や四年ならば作兵衛は多分今頃ストレスでいっぱいいっぱいになってしまっただろう、こういう時ばかりは作兵衛は三年というちょうどいい学年として登場出来て良かったと心底思う。
「さあくべ!」
名前を呼ばれて作兵衛は振り返り、いつものようにまた日常を繰り返す。
左門と三之助は迷子になってばかりだし、伊賀崎はすぐにペットを逃がすし、藤内はいつも他人ごとだし数馬は不運だし。
それでもそれが各々いいところ。大好きなところなのだ、だからどうか自分並み、いやそれ以上に人気が上がってほしいと思う。
(皆いいやつなんだよ、)
皆に囲まれながら、作兵衛は願うのだ。













もーちらん。
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