部屋は湿った音と、こもったにおいに覆われている。
ぱちゅ…ぷちゅ…
「ぁン
由貴くん…
」
「ン…?ほしいの…?まだ、だぁめ…
」
なんで、こんなことになったんだっけ………?
★★★
昔から体力がなくて、学校の授業で50m全力疾走したら次の日ベッドから起き上がれないくらいだった。
お医者様が言うには、人よりちょっと心肺機能の発達が悪いらしくて…。
なので、学校に通う体力もなくて休みがちなわたしの学力を心配して、母親は小学生の頃からわたしに家庭教師をつけていた。
といっても、本物じゃない。
わたしの家庭教師は、近所に住む5個年上の由貴くんだ。
「ここに、さっきの値を挿入して…」
「あっ…そっか」
わたしが小学生のときから、由貴くんは中学生のころから、ずっと勉強を見てもらってて、今はもうわたしは18歳で、由貴くんは23歳。
由貴くんは、去年から会社勤めをはじめたけど、変わらず、週に1度のペースでわたしの勉強を見てくれている。
「じゃあ少し休憩したら小テストしよっか」
「うん」
最初のうちは、由貴くんの貴重な休日を潰すことに罪悪感と優越感があったけど。
そのせいで、わたしはいっかいだけ、由貴くんに「家庭教師もういいよ、彼女とかと過ごしたほうが楽しいでしょ」って言ったけど。
由貴くんがめちゃくちゃ怒りながら告白してくれて、まるくおさまった。
だってわたしも、由貴くんがだいすきで、彼女、って言葉を言うのに泣きそうだったから。
「じゃあ、今日の小テストはこれな。制限時間15分。いくぞ」
「うん」
由貴くんが用意してくれた問題をがんばって解く。
どきどき、はやる心をおさえつけながら、丁寧に数字を書いていく。
「ん、答え合わせするよ」
15分経って、由貴くんが紙を奪う。
節が目立つ長くて太い、男の人の手が赤ペンを握って丸つけしていくのを、どきどきしながら見つめる。
わたしの答案が、丸で埋まった。
「よし。全問正解」
「…やったあ」
由貴くんが、よくできましたと頭を撫でてくれるけど、覚えてしまったわたしはもうそれじゃ物足りない。
もじもじしながら、口を開く。
「あの…あのね……ご、ご褒美、ほしいな…」
「……」
由貴くんの頭を撫でる手が止まり、すうっと目が細くなる。
そして、にやりと口の端が持ち上がる。
「……明ちゃん、ご褒美欲しいの?」
「…ん…」
「いーよ、あげる。……でも、今日はさ…」
俺も普段のご褒美ほしいな?
★★★
後ろから由貴くんに抱っこされて、ベッドにすわる。
由貴くんの足に、足を引っ掛けさせられて大きく開かされた。
「あっ、由貴くん、恥ずかしい」
「だいじょうぶだいじょうぶ、気持ちよくなるだけだからね…」
「んぁっ」
由貴くんの太い指が、パンツの上からすりすりとあそこをさわる。
何かを探すように動くその指が、ある一点で動きを止めた。
「ん、ん」
「明ちゃん、ここなんて言うんだっけ?」
「……っあ」
「めーいちゃん」
「く…くりとりす…」
「ん、よくできました」
由貴くんはわたしにえっちな言葉を言わせたがる。
耳元で低い声に促されると、ふにゃっと力が抜けて、抵抗できなくなっちゃう…。
短く整えた爪先で、由貴くんがぷくっとふくらみはじめたそこをカリカリと撫でた。
「あっ、あっ」
ちゅ、ちゅ
と耳元にキスをしながら、由貴くんの手が器用にパンツを下ろしていく。
まくられたスカートのすそから見える、脱がされていくパンツには、透明な糸が引いていた。
「わ、もうこんな糸引くくらい濡らしてんの?」
「あっ、あっ、ごめ、ごめんなさい…」
「明ちゃん、こんなんじゃ持たないよ?」
「いやぁ…」
だって由貴くんがさわってくれるのがうれしくて、感じちゃうんだもん。
そんな言葉は声にならなかった。
「あっ!」
「ん。ちゃんと、スカートまくって。見える…?」
丸出しになったそこに、由貴くんの中指がつぷ…と埋まってく。
さっきまで赤ペン握ってた指が、今はわたしのいやらしいところを撫でている。
根本まで指を埋めた由貴くんが、ぐるり、と手首を回した。
「ぁンっ」
「明ちゃんのイイとこ、どこかな…」
分かってるくせに。
分かってるくせに!
「ふ、ふ、由貴くん、由貴くぅん…」
「ん〜?」
「ちゃ、ちゃんと、さわって…」
「触ってるよ」
「ちがうの…そこじゃないの……」
「じゃあココ」
「ひっ!」
親指が、肉の粒を軽く押し潰した。
そ、こはだめ…!
ぐにぐにと中を広げるように動く指と連動するみたいに、粒を押す指もくりくりと器用に動く。
耐え切れない刺激に、体を陸に上がった魚みたいにびくびくさせているうちに、由貴くんの、中に入ってくる指は増えていた。
「んぃっ」
「痛い…?」
「…っ、……っ」
必死で首を振る。
右耳を舌で愛撫しながら、気遣うように傷つけないようにわたしの中をこする指に、媚びるみたいにひだが絡みついてしまう。
由貴くんが、耳元で熱い吐息を漏らした。
「ナカ…気持ちよさそう…」
「ふぇ」
「あ、こら。足閉じないの、ちゃんと広げて」
耳元でえっちなことを言われるの、ほんとに慣れない。
恥ずかしくなって思わず膝を合わせるようにすると、由貴くんの、あそこに触れてないほうの手がしっかりとわたしの足を開いて、もう一度自分の足の外側に固定した。
「あっ、あっ、由貴くん、あ、あ、あ」
「イきそう?」
「ん、ん、いく、いくから、あっんっ」
さっきから、お尻に、由貴くんの硬いの当たってるのは気づいてた。
ちょっと、意識させるみたいに押しつけてるのも、気づいてた…。
もうちょっとで、一番気持ちいいの掴める、というところで、由貴くんがすっと指を抜いた。
「んぁっ……?」
「明ちゃん、俺言ったよね」
「え……?」
「今日は俺にもご褒美ちょうだいって」
ぼんやりしてまわらない頭で、由貴くんの言葉を噛みくだく。
俺にも、ご褒美…?
いつも、由貴くんはわたしの体力のないのを配慮して、わたしが1回イったら、汗や濡れたあそこをきれいにしておしまいにする。
発達してないわたしの心肺機能では、1回イっちゃったら、もうつらいのだ。
だって、あんなの100m全力疾走と同じ。
「由貴くん…?」
わきの下に手を入れて、わたしを後ろから持ち上げて、そっとベッドにあおむけに寝かせた。
そして、由貴くんが覆いかぶさってくる。
あ……。
「ゆ、由貴くん」
由貴くんは、ギラギラした男の人の目でわたしを見ている。
かっこよくて、優しくて、強くて、とろけるように甘いわたしの恋人が、欲望を隠しもせずにわたしを見下ろしている。
きゅう、とおなかの奥がうずいて、とろ…と何かが股の間からこぼれた。
由貴くんの指が、もう一度そこに伸びてくる。
「んんっ」
「ぐちゃぐちゃだし、ちゃんと中イキできるようにしたし…ちょっとは痛いかもしれないけど…」
「あんっ」
3本の指で軽く中をにちゃにちゃして、それが引き抜かれる。
由貴くんが口に咥えてる正方形のパウチが何かなんて、うといわたしでもわかるもん。
とろんと煮崩れたような頭で、わたしはようやく、あ、これから由貴くんとえっちするんだ、と気づいた。
Tシャツを脱いで、由貴くんがパウチの封を切った。
「…ッ」
思わず、目線が下にいく。
「……!?」
お、男の人のって、あんなにおっきいの!?
思わず目が釘付けになってしまっているのに気づいた由貴くんが、ちらりとわたしを見た。
「……すけべ
」
「〜〜〜!?」
「さわってみる?」
「えっ!?」
さわってみる?なんて提案口調で聞いたわりに、由貴くんの手はさっさとわたしの手を持ってそれを握らせてしまった。
「……!」
「どう?」
「あ、熱くて、太くて、すごく硬い……」
人間の体の一部だなんて信じられないくらい、硬い。
それに、燃えるように熱い。
素直にそういうと、由貴くんの顔が歪んだ。
「えっろ…」
封を切ったパウチの中身を、由貴くんがそれに、器用にかぶせる。
ぱちん、と根本までそれがきちんと包んで、由貴くんの両手がわたしの顔の横につく。
「……明ちゃん、精一杯優しくするから、もうこれ以上煽んないでね」
「…?わかった…」
「…分かってないと思うけど、まあいいや」
「、!」
わたしのあそこに、由貴くんのそれがふれた。
きゅっと体が硬くなる。
緊張するのに、わたしのあそこはそれを待っていたみたいにぱくぱくと先端を食んだ。
「…、はは…誘われてる」
「〜〜〜!ちがっ、んあぁぁあぁっ」
ず、ずず…と由貴くんが腰を進めてきた。
濡れているのと、由貴くんがしっかり指で拡げてくれたからなのか、大した痛みもなく飲み込んでいく。
ゆっくり、ゆっくり、でも確実に、由貴くんが入ってきて、そのうち、ぴたりとわたしの腰と由貴くんの腰がぶつかった。
「…全部はいった」
「っあ、……っ、…っ」
「つらい?痛い?」
「…っ」
ふるふると首を横に振る。
ほんとはちょこっとだけ痛いんだけど、でも、我慢できないほどじゃなかった。
それに、痛みよりも突き抜けて、おなかの中が熱い。
そうっとおへその下くらいを撫でる。
「おなか、いっぱい…っ、あつい……」
「……」
「あ、なんか、奥、きゅうきゅうするよ…」
「このばか」
急にののしられたと思ったら、由貴くんが腰を引いた。
「んあっ!?」
ずるるっと抜けていくそれが再び押し込まれる。
その衝撃に、目を見開いて由貴くんにしがみつくと、ぎゅっと強く抱きしめられた。
「明ちゃん、めいちゃん」
「んあぁっ、あンっ、や、や、だめ、ゆきくん、や、やぁぅ〜〜〜」
「は、かわいい、可愛い、好きだ、明ちゃん」
耳元で、溶けちゃいそうなくらい甘ったるい声で、甘ったるいことを言われて、おなかが勝手にきゅんきゅん締まってしまう。
由貴くんが腰を振るたびに、目の中で星がばちばちはじけて、おなかの中が熱くって、痛いのか気持ちいいのかも全然分からなくなる。
「あ、あ、あ、あっ」
「っ明ちゃん、分かる…?中、ぎゅうぎゅう俺の締めつけて離さないの…」
「あっ、えっ?あっ、あっ、あっ」
「すげ…絡みついてくる…えろい…かわいい…」
「や、や、あっ、あうぅ…!」
溶けちゃう、溶けちゃう、溶けちゃう…!
由貴くんの手が、わたしの胸元をまさぐって、ふにふにと揉む。
ちゅ、ちゅ、と耳元にずっとキスをしながら、腰の動きは止めないし手も胸をいじめてるしで、頭がパンクしちゃいそうだった。
「ゆきく、あっ…い、や、なんか、もう、や、だめ」
「……イきそう?」
必死でこくこくうなずくと、不意に由貴くんが腰の動きを止めた。
「…あっ…?」
「だめだよ、明ちゃん、イくと疲れちゃうでしょ?ちょっと休憩しようね」
「…?ん、んん…」
根本まで飲み込んだ状態のまま、由貴くんはそうしてほんとうにしばらく動かなかった。
わたしの呼吸が落ち着いてきたころを見計らい、由貴くんが腰をぐ、と突き上げる。
「んあ、あっ、あっ」
「俺と一緒にイこうね…ん、かわいい」
すりすりと頬を寄せてくる由貴くんにすがりついて、のろのろした腰の動きにびくびくと体を震わせた。
★★★
「あっ…
由貴くん…
」
「…ははっ…
ずいぶんかわいくなっちゃって…
」
「ゆきくん、ゆきくん、あっ
」
イきそうになるたびに動きを止められて、気持ちいいを取り上げられることn回目…。
結局何回焦らされているのか、正確な回数が分からないまま、わたしはどろどろに蕩かされてしまっている。
「ゆきくん…
あンっ
あっ
あっ
」
「…イきたい?イきたいよなあ?はぁっ…でも、明ちゃん、イくと力抜けちゃうから、我慢しようなあ…
」
「んん〜〜〜〜っ
」
ごりゅっ
と奥を突かれて身悶える。
なんかいも寸止めされているうちに、すっかり、指じゃ届かないところまで押し広げられて、気持ちよくなれるようになってしまった。
またイきそうになって、由貴くんの肩に担ぎあげられている足ががくがく震えて、また由貴くんが動きを止める。
「…俺も、もうちょっとでイけそうだから、ね、ごめんね、もうちょっと…」
はー
はー
と荒い息でとろんと由貴くんを見つめると、中にいる由貴くんが少し動いた。
男らしい眉をぴくりと寄せて、由貴くんの手はわたしの体中まさぐっていく。
もうほとんどとろけてしまった頭で、こんなの、死んじゃう、と思った。
「ゆきくん…
も、しんじゃう、しんじゃうから…
あうぅ…
」
「は…しんじゃうの…?俺に殺されちゃうの…?じゃあ…しんじゃえ
」
色っぽく笑った由貴くんが、腰をふたたび動かした。
「あっ
あっ、あ〜〜〜〜っ
」
「っあ、気持ちいい…やばい、そっか、俺が明ちゃん殺すのか…
いいな…
」
「ゆきく、ゆ、あっ
あんん
ゆきくん〜〜〜っ
」
ばちゅんっ
ばちゅんっ
ばちゅんっ
ばちゅんっ
「あ、あ
ゆきくん、いま、らめなの
いっちゃったからぁ
とまってぇ
」
「っあー…すご、搾り取られそう…
うん、俺もイくから…あとちょっとだけ我慢な…
」
「ゆきくん
ゆきくん
あっ、あっ、〜〜〜〜〜ッ
」
「う、あ
で、る…ッ
」
由貴くんが、わたしの口を自分の口で塞いだ。
間抜けに開いていた口の中に、舌がぬるりと滑り込んできて、ぐちゅぐちゅと絡ませられて、由貴くんがようやく腰のうごきをとめた。
ぢゅるるっと舌を吸われて、ぴくぴくと体が痙攣する。
しがみついていた腕の力が抜けて、由貴くんの腕に添えるだけになっている。
「ん…
」
「…明ちゃん、疲れた?疲れちゃったよね…ごめんね」
「あ…
あっ…
」
ぬぽ…
と由貴くんが出ていって、おなかがさみしくなる。
まぶたが重たくて、目を閉じた。
その閉じたまぶたに由貴くんがそっとキスをしてくれて、手を握ってくれる。
「ん、かわいい、明ちゃん、好きだよ、すげえ好き」
「……
」
わたしも、だいすき。
って言いたかったのに、疲れすぎて声にならずにむにゃむにゃ言うと、由貴くんがふふっと笑った気配がした。
★★★
次の日わたしは熱を出して寝込んだ。
「……」
仕事帰りにお見舞いにきた由貴くんが、この世の終わりみたいな顔をしている。
「ごめん明ちゃん…無理させたんだよね…ごめん…」
「由貴くん…あのね」
そっと布団から手を出して、由貴くんの指を握る。
「イっちゃうの疲れるけどね…たぶん、あんなふうにされるほうが疲れちゃう…」
「……」
泣き出しそうな顔をしている由貴くんに、にっこり笑ってみせる。
「だからね、次はあんなふうに気、使ってくれなくてもだいじょうぶだからね」
「…怒ってない?」
「?なにを?」
「もうしないって言われるかと思った…」
「……」
そんなこと考えてたの?
「言わないよ…由貴くん、優しいし、わたしのこと考えてくれてるんだもんね?」
「…………」
由貴くんが、なんかすごく気まずそうな微妙な顔をした。
ん????
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