部活終わりに部室の窓から灰色の空を見ながらこの調子だと雨が降りそうだねなんて言う彼の綺麗な横顔を見ながらあたしは溜め息を吐いた。



彼、幸村精市に出逢ったのは中学一年生のテニスコートで。女の子みたいな綺麗な顔立ちなのになんて力強いテニスなんだろうと思った。真剣な表情に綺麗なファーム。何もかもが魅了されたのを数年経った今でも覚えている。それぐらい印象的だった。



たまたま一緒になった美化委員での花の世話はテニスのときとは違う表情で見いってしまうくらいだった。あの表情を向けられている花たちが羨ましく思ったと丸井くんに言ったらドン引きされたっけなあ。




「ねえ、さっきから何俺のこと無視してるの?」

「え、」

「全くいい度胸だね」



こうやって毒を吐いたのを見たときは本当に驚いた。胸がモヤモヤした。でも、これも幸村精市なんだって思うことにした。毒を吐かない幸村くんは幸村くんじゃないとさえ思っているくらいだ。




「そろそろ雲行きが危ういから帰るよ」

「い、一緒に?」

「当たり前だろ。ほら、行くよ」
「うん!」



部室にはあたしと幸村くんだけだからもちろん帰るのも二人きり。片想い中の相手と帰れるなんて幸せすぎる。隣を歩く幸村くんは本当にかっこよくて。さっき同様溜め息を吐いた。




「あ、雨…」

「本降りになってきたね、急いで」

「わ、待ってよ!」



ぽつりぽつりと降りだした雨はやがてザアザアと降り雨宿りするために幸村くんはあたしの手を握り一緒に走った。



「はあ、びしょ濡れになっちゃったね…」

「フフ、そうだね」



雨宿りできる場所に来たときにはお互い濡れてしまっていた。雨で濡れてる幸村くんは色気があって、直視できない。さっきから何か話しかけてくれる幸村くんに対して生返事ばかりになってしまう。



「お前俺のこと馬鹿にしてんの?」

「し、してないよ!」

「俺のこと見ないし話聞いてないし吃りすぎだし」

「幸村くんのばかっ」

「馬鹿って言った方が馬鹿なんだよ


「きゃっ」



怒ったらのか壁に追い込まれてあたしの顔の横には幸村くんの腕があり逃げられる状況じゃない。顔を上げれば幸村くんの顔があるからとてもじゃないけど上げることができない。どうしよう…



「好きな子にこんなことされたらいくら俺でも傷つくよ」

「…え…?」

「気づいてなかったのかい?」

「うん…」

「好きだよ」

「…あたしも、」



あたしの言葉を聞いた幸村くんは嬉しそうに微笑むと顔を近づけてきた。目を閉じなきゃって思ったのに体が固まってしまい唇が重なったときには目を閉じている幸村くんの余裕のないような表情と髪から滴り落ちる雫に幸村くんの体温を感じてからやっとあたしは目を閉じた。




胸がやばい爆発しそう




雨はまだまだ止みそうにない…





神の子祭様提出
happybirthday Seiichi!!!
2012.03/05


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