いつか、想いが届く いつか、君は受け止めてくれる そんなの妄想だって気付くのに、5年もかかってしまった。 見上げるのはいつも曇り空。 今にも泣き出しそうな空とでも言おうか―― それでも、雨にはならず、雲の切れ間から光が差し込み、眩しいくらいの晴れ空になるって希望をどこかで抱いていた。 そんな奇跡みたいな光景、一度だって見たことないのに…… 今日、君の袖を指先で摘む小柄な女の子を見た。 はにかむその顔に、自分の姿を重ねて有り得ないってわかった。 君がその子に柔らかな笑顔を向けるのも見た。 その笑顔が僕に向けられるかもだなんて、どうして考えることができたのだろう。 馬鹿だ。僕は馬鹿だ。 君があまりに優しいから、勘違いしてしまった。 違う! 君のせいにしちゃいけない。 君のことが大好きで、つい現実から目を背けていた。 君は普通で、僕が普通じゃないこと。 どうしてもっと考えなかったんだろう。 恥ずかしい…… 恥ずかしい!! ついに降り出した雨が、アスファルトの色を濃くしていく。 次第に強くなる雨足。 苦しくて、苦しくて 溺れているみたいだ このまま、雨に溶かされて、僕なんてなくなっちゃえばいいのに…… ふいに、自分が凄く滑稽に思えて、僕は笑った。 君が大好きでした。 君が大好きでした。 叫んだ声は雨音にかき消されて、もちろん君には届かない。 |