イラスト1
降りしきる雨

いつか、想いが届く
いつか、君は受け止めてくれる

そんなの妄想だって気付くのに、5年もかかってしまった。

見上げるのはいつも曇り空。
今にも泣き出しそうな空とでも言おうか――
それでも、雨にはならず、雲の切れ間から光が差し込み、眩しいくらいの晴れ空になるって希望をどこかで抱いていた。

そんな奇跡みたいな光景、一度だって見たことないのに……

今日、君の袖を指先で摘む小柄な女の子を見た。

はにかむその顔に、自分の姿を重ねて有り得ないってわかった。

君がその子に柔らかな笑顔を向けるのも見た。

その笑顔が僕に向けられるかもだなんて、どうして考えることができたのだろう。

馬鹿だ。僕は馬鹿だ。

君があまりに優しいから、勘違いしてしまった。

違う!
君のせいにしちゃいけない。

君のことが大好きで、つい現実から目を背けていた。
君は普通で、僕が普通じゃないこと。
どうしてもっと考えなかったんだろう。

恥ずかしい……
恥ずかしい!!

ついに降り出した雨が、アスファルトの色を濃くしていく。

次第に強くなる雨足。

苦しくて、苦しくて
溺れているみたいだ

このまま、雨に溶かされて、僕なんてなくなっちゃえばいいのに……

ふいに、自分が凄く滑稽に思えて、僕は笑った。


君が大好きでした。
君が大好きでした。


叫んだ声は雨音にかき消されて、もちろん君には届かない。

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