妻風邪をひく


皇毅の固く反り返る陰茎がお目当ての花弁を上下に擦りあげると、それだけで再び快感の淵へと追い込まれ落ちていってしまう。

「はぁん……きもちいい」

「まだ何もしていないだろう」

「嘘つき……」

気持ちが身体に追いついているのは皇毅がこの上なく優しく抱いてくれてるからなのだろうと、唯一無二の体験からでも想像できた。

この世でだた一人の愛する夫に抱かれている。
その想いが玉蓮を安堵させ身体と気持ちを大胆にさせた。

低く甘い吐息が耳許で響き、密口の中へ皇毅の愛欲が入ってくる。
じっくり中を味わうように、ゆっくりと。
最奥まで差し込まれるとじわりと熱いものが滲んできた。

中から押し広げられる感覚に視界が霞むが、痛みはなく温かな皇毅の半身を包んでいるようで嬉しかった。

しかし最奥に先端が擦り当たると、身体に雷が走ったような強い快感に襲われ思わず逃げるように身を捩らせた。

「やはり、お前は私に抱かれるべきだな…」

不思議な事を言われその意味を問おうとしたが、律動が開始され問うことが出来なかった。

先ほどとは比べものにならない激しい振動と熱が身体を侵してゆく。

「あぁん、あ、……ん、こうきさま……私をみて…ください」

「玉蓮……」

呼べば閉じられた双眸が開き玉蓮へと注がれる。
視線を合わせて睦み合いたいという気持ちが伝わっただろうか。

今日は顔を見て欲しくなかったのに、今は目を離して欲しくない。
視線が合うと口づけ、離せば皇毅の唇が首もとへ吸いついた。

大きな身体に精一杯腕を回して、激しく動く腰に下腿を巻き付けると更に気持ちがよい。

皇毅の身体を愉しんでいるようで恥ずかしいが、下腿、乳首、臍部、唇、そして身体の中心……すべてに快感の波が押し寄せて仕方ないのだ。

皇毅の呼吸も徐々に上がり、それに合わせるように律動も速まってゆく。
最奥に当たると快感の嬌声をあげる玉蓮は知らずのうちに秘部全体で陰茎をきつく吸っていた。

その感覚が堪らないと皇毅は思う存分身体を動かし唇で甘える。

お互いもうそんなに長くは保ちそうにもない。

(それに……出し惜しみすることもあるまい)


二人の夜は長いのだから……。


「愛している……」

穏やかな掠れ声が吐息とともに溶けると、甘い空気を払拭するような律動が始まった。
秘部の襞を擦りあげる陰茎は熱を増し固く膨張する。
玉蓮の受け入れられる限界の大きさだった。

「あ、……あ、ん、…熱い…こうきさま…!」

叩きつける先端が急に止まったと思えば、わずかに震え熱い欲がどくり、どくり、と波打つように最奥へと注がれてくゆく。

絶頂を迎えた皇毅は大きく溜息を洩らす。
最上の時が訪れた。

引きずられるように玉蓮も波にのまれる。


激しい波が徐々に引いてくると余韻の時間をそのまま抱き合って過ごした。

「まだ離れないでください……」

「離れるものか。まだ準備運動しただけだからな」

またそんな冗談を、と頬を膨らませたが指で潰された。
本当に準備運動だったらどうしようと視界がぐらつく。

「これ以上一緒にいては風邪が伝染ってしまいます」

「問題ない。私には優秀な医女がついている」


またそんな冗談を、と頬を膨らませたが、今度は口づけられた。


皇毅が風邪をひいてしまったら、苦々しい薬湯を飲ませるしかないと密かに心に決めた。


苦い薬のあとはまた甘い薬……。
それが優秀な医女のやり方。

「ふふふ……」

「何を笑っている」

「秘密です」


また秘密か、そう窓辺の月にぼやくと、月まで呆れたのか雲に隠れてしまった。













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