妻風邪をひく


唯一無二の愛を誓った夫と抱き合う、心地よき至福の時。

視線を移すと、なにやらまた皇毅が小瓶の中身を指に塗りつけている。
しかし、今度は薄荷の香りがしてこない。
先ほどとはまた違う物のようだ。

「葵医官様、今度はどのような治療を?」

可愛い問いかけに薄く笑った皇毅は玉蓮の白い太股の間に自らの指を差し入れた。

「や……!きゃぁ、」

叫び声に全く動じず、ねっとりと濡れた指が敏感な部分を撫でてゆく。

慌てて玉蓮がしっかり両股を閉じると、差し入れられている指は密口から太股をなぞり、ゆっくりと離れていった。

「どうやら香油の方は必要ないようだな」

後ろから逞しい腕が回され耳許に皇毅の唇が当たる。
言われている意味を考えるのも恥ずかしいのに意地の悪い声は続いた。

「潤滑油など使わずとも濡れているぞ」

耳許で囁かれれば、恥ずかしさで息があがる。頬はどんなに紅潮しているのか想像もつかなかった。

「はしたなくて…すみません」

「愛している…」

皇毅の声がより低く、より官能的に耳許に響いた。
全身が痺れるような甘い感覚に包まれ、視界が霞んでゆく。

「あ、……こうきさま」

暗がりに視線がまたかち合った。
氷河のように冷めた色の双眸が、たまらなく魅力的に感じる。


愛している


睦言を紡ぎ始めると、それが何かの合図のように皇毅は徐々に口数が減ってゆく。
十分おしゃべりにつきあってやったのだからもういいだろうと、暗に告げられているようで、我慢させていた罪悪感とこれからの事に羞恥心が折り混ざり、心が乱された。

まだ蕾を堅く閉じた秘部に眸を細め、夜着から垣間見える素肌に口づける。

柔らかく、時にきつく吸うと、白い肌に紅く可憐な花が咲いた。

次々に咲く花園に満足すると、身を起こして玉蓮の腰を引き寄せた。

「あ……あの、まだ蝋燭が一つ灯っておりますので消しますね」

往生際悪く蝋燭の灯りを消そうと身を捩ると腕が追ってきてズリズリと皇毅の傍へ引き戻された。

「見られるのは嫌か?」

「いや……じゃ、」

ありません……。

掠れた声で囁く語尾は敢え無く消えてしまったが、皇毅の口の端が上がった。
嫌じゃないけれど、自分でも普段あまり目にしない秘部を見られるのは不安になってしまう。

頑なに合わさる膝を円を描くように丸く撫でられ、その不安が曖昧になってきた頃、ゆっくりと膝に掛けられた手が太股へと降りてくる。
そのままゆっくりと左右に開かれると、秘部が外気の冷たさを感じ、ひくりと動いた。

「お前の半身は魅力的だ」

「や、……いわないで…」

先ほどまで蕾のように閉じていた花弁は開花し、紅く色づいていた。
花弁からぽたり、ぽたり、と雫が敷布に滴り落ちている。

その雫を指で拭ってやると、それだけで玉蓮の身体が大きく跳ねた。






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