終わらぬ夢
「今夜だけ皇毅様を独占出来たらそれでいいと、思っておりましたが、ずっと……ずっとでいいですか」
この間合いで訊いてくるとは床の天つ才なのか床下手なのか、どっちなんだと訊いてやりたくなるが完敗だった。
碁では完勝だったがまさか床で負けるとは。
「必ず唯一無二の妻にする。私から離れず独占し続けろ」
旺季が王になった世を共に見る。
そして旺季の治世を支える宰相に登り詰める。
しかし禅譲も謀反も共にしくじれば共に奈落の底に落ちるだろう。
けれど奈落の底に落ちてもこの医女は傍にいる気がした。
そう思ったから伝えたのだろう。
「お傍にずっといたいです…」
玉蓮が身を寄せてくる。
その安心しきった顔に皇毅の方は肚の底から疑念が湧いてきた。
肝心な事をしていないのに、まさかこれで終わろうとしてないだろうなという疑念。
そういえば初夜でも良いところで流れを遮りまくっていた。
どういうことだ。
「肝心な事をしていない。これでは子を成せず横暴な家令にけしかけられ、男色趣味ではと疑われ迷惑だ」
「それは困ります。皇毅様のお子はきっと愛らしいでしょうから是非会いたいです」
ならば妙な間合いで話しかけてくるな、と言いたくなるが再び喋り始めたら夜が明けてしまいそうだった。
火を点けてやれば簡単に上気する身体から上衣を完全にはぎ取り寝台から床へ落としすと、また少し不安そうに瞳を揺らしだす。
無理もないかもしれない。男と女では情事に対する重みが違うのだろう。
一度棄てられたのだから尚更。
真に信頼を得るのは今夜だけでは無理だ。
抱いてやることが誠実な愛情表現だと勘違いする女人などでは無いことは承知している。
しかし愛しているから床を共にしたいと思う気持ちも分かってほしい。
細腰に腕を回して膝を割るとその間に割り込んだ。
再び合わせた唇は甘さを増し胸を隠したり宙を泳いでいた玉蓮の腕が皇毅の頸に巻き付いてきた。
口を開けば生意気ばかりだがやはり美しく庇護欲をかき立てる。
子が欲しいとも言ってくれた。
手放したはずの色のある世界が蘇ってくるようだった。
愛している…
秘部に触れていた指で花弁を開き自らの熱を推し入れると頸に巻き付いている腕にも力が入った。
陰茎を推し入れた所で皇毅は眉根をきつく寄せる。
背の疵に爪を立てられても構わない。それくらい夢中になる感覚に襲われた。
(嗚呼、……思い出した)
まだ動いてさえいないのに先端をきつく吸われる感触で油断すると達しそうになる。
敏感に蠢いている感触が病みつきになりそうだった。
律動を開始する前に秘部に絡み取られる感触を存分に味わう。
床下手を払拭する相性の良い秘部。
眼下には小さく喘ぐ度に揺れる卑猥で美しい躯。
[ 60/79 ][*prev] [next#]
[戻る]