わたしはお人形 とある国の王宮で大切に飾られているわ。それから聞いて聞いて、最近、わたしの憂鬱がようやく終わりを告げたのよ。ついにあの鈍感な二人がくっついたの。これであのイライラを感じなくていいのかと思うと、嬉しくて身体が動き出しそうよ。 でもね、そう思っていたわたしが甘かった ようやくくっついたと思ったら今度はあの二人、わたしの目の前でイチャつくようになったの!信じられる?最悪よね。 「ねえシン、大好き!」 「俺もだよ」 やあね。独り身のわたしに見せ付けてくれちゃって。少しはこっちにも気を使いなさいよね。可愛いいお人形だと思って馬鹿にして・・・・・・! わたしだって素敵な相手が欲しいのよ! ふて腐れるわたしに、何を思ったのか女の方が近づいて来たわ。そしてわたしに優しい顔で微笑み掛ける。 「あなたにも素敵な彼が見つかるといいわね」 わたしが動けないと知っておきながらそれを言うのかしら。嫌な女ね。でもその半月後、わたしの隣には知らない殿方が飾られていた。前言撤回よ。いい奴だわ、あの女。 (こんにちは、マドモアゼル) (ご機嫌よう) わたしたちはすぐに恋に落ちたのーーー・・・・・・ お人形は幸せに暮らしましたとさ (王宮内ではいつしか、あのお人形たちの笑い声を聞くと、幸せになれるという噂が広まるようになったそうだ) ← |