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(お人形さん視点のお話)




わたしはお人形


西の国からこの国に連れてこられたの。この国の人はわたしの姿形が珍しいのかしらね。いちいち目の前でのリアクションがうっとうしいことこの上ないわ。でもこれはまだ我慢できるの。わたしが最近、本当にイライラさせられることは他にあるのよ。ほら、その原因がウワサをすればやって来たわ。


「なんで着いてくるのよ!」
「だからそれは名前が勘違いしてるからだろ!」
「何を私が勘違いしてるのよ!」


女の方が押してるわね。またあの男が何かやらかしたのかしら。
いつもこの二人は喧嘩ばかりしているけれど、本当は二人とも想い合っているの。それなのに一向に二人の関係が進展しないのは、二人とも同じくらい鈍感なせいよ。最悪よね。イライラするわ。


「俺には君しかいないんだよ!」
「嘘をつかないで!それにそんなこと言って何回他の女とヤれば気が済むの!?」
「嘘じゃない!それにそれは不可抗力というものだ!」
「またお酒のせいにするつもり!?第一、私はシンの何にでもないんだからあなたが何しようと関係ないわ!」
「じゃあどうしてそんなに怒ってるんだ」
「・・・・・・!」


女は黙り込むと、ついには目頭に涙をいっぱい溜め込んで、部屋を出ていったわ。男が制止するのも振り切ってね。一方、男の方は盛大な溜息。この男は酒癖が悪くて本当にどうしようもないわね。


「俺は名前が何を考えてるのかわからない・・・・・・」


男はわたしを見つめながら、また溜息を吐いた。


「君なら彼女の気持ちがわかるのだろうか・・・・・・」


男の言葉にイラついたのは言うまでもないわ









お人形の憂鬱はまだ続く


(早くくっついてくれないかしら)
(イライラすることこの上ないのよね)