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(ジュダルさんに一目ぼれされた女の子)

「なあ、名前。なあってば!」


今日もお空の彼方から来たそいつは、飽きることなく私に付きまとう。私は仕事仲間たちに白い目で見られながら、作業をしていた。そう、今は仕事中なのである。それなのにこの男は毎日毎日ところ構わずに私に着いてくる。どんだけ暇人なのだろう。


「いい加減にして、ジュダル」


半月ほど前、いきなり私の前に現れたこのジュダルという男は、私に一目ぼれしたとかぬかしてきた。それからというもの、私の行く先々に姿を現す彼に、私はいい加減ストレスが溜まっていたのかもしれない。私はついにジュダルに向かって冷たい目をして言ってしまった。もう着いてこないで、って。


「はあ?」


私は正直、時々ジュダルの中に垣間見る邪悪な部分が好きではなかった。ほら、今だって彼は黒い空気を纏って私ににじり寄ってくる。怖い。


「何それ、俺に向かって言ってんの?」


どんっと壁に体を押し付けられた私は、彼の瞳に宿る邪悪なものを見て思わず身震いした。普段の少年の姿からは見いだすことの出来ない禍々しいものを、彼の背後に感じ取る。


「いい加減俺も我慢の限界なんだよな」


いつも澄ましやがって、と彼は吐き捨てるように言う。


「離してよ!」


私はジュダルに抱く恐れを飲み込んで、言った。そしていつしか誰かにジュダルが言い放った言葉を思い出す。私は最後の止めのつもりでジュダルにこう言い放った。


「私、戦争が嫌いな人がタイプなの」














それから、その少年の姿を目にすることは無くなったという。


ある女とともに……




あの乙女は何処へ



(私をここから帰して!)
(無理)