「シン!私も一緒に連れて行って!」 小さな宿の中、声を荒げるのはいかにも可愛らしい女の子。それでも凄まじい剣幕で連れに怒鳴る姿は、何とも鬼気としたものだった。 「私も戦うためにここに来たのに!」 少女は悔しげに下唇を噛んだ。少女がこのように怒るのには訳があった。理由は目の前の男たちである。 「だが、君を危険な目に合わせる訳にはいかない」 男は少女の必死の願いにも、決して首を縦に振ることはしなかった。少女は仕舞いには泣きそうになりながら、男に懇願したがついにそれは叶わなかった。 「せめて理由を教えて・・・・・・。このままでは引き下がれないから」 少女は口を尖らせながら、男に問い掛ける。 少女がこのように怒るのも無理はない。少女は男の助けになるならと、日々鍛練に鍛練を重ねたのだから。 「理由によっては強行手段に出てでも着いていくから!」 声を荒げる少女に男は眉を下げて、大きな溜息をついた。 「どうして君はいつもいつもそうなんだ。鈍いのも罪だよ、ほんとうに・・・・・・」 男はゆっくりと大きな両腕で小さな少女を包み込んでみせた。少女はあまりに急なことで混乱しているのか、口を金魚のようにぱくぱくさせている。 「な、な・・・・・・なにっ!」 「だから、俺は名前に危険な目に合って欲しくないと言ってるんだ」 さらに俺は少女を抱きしめる腕に力を込める。 「君には俺の帰りをいつまでも待っていて欲しいから」 諸行無情の響きあり (クサイわ。却下!) (え、) (シン、私たちがいることをお忘れなく・・・・・・) ← |