なぜ、どうして、江戸時代なんかに来てしまったのか。









「きゃあああああ」


私が暫く京の通りの前で停止していると、不意に辺りに悲鳴が響いた。往来がざわつく。そして見てしまった。赤の血しぶきの中に倒れていく制服姿の少女たちを。人形のように赤い血溜まりのなかで動かない見知った顔。それは同じクラスの子たちだった。


なぜ、同じクラスの子たちが……と思う暇もなく、いつの間にか少女たちを斬った侍たちのところに先程私を案内してくれた青年が斬りかかっていた。先程まで笑っていた(目は笑っていないが)青年が鬼神のような目付きで人を斬っていく。途端に何もかもが恐ろしくなる。


ここはオカシイ!


気がつけば強張る両足を必死に動かして走っていた。どこかに逃げなければ。どこか誰もいないところに。しかし走りながらそれは無理な話だと気付く。どこにも逃げられはしない。ここは現代とは遠くかけ離れた時代。なんとしても生き抜いて現代に帰らなければ!





しかし、何をどうして生きていけばいいのか全くわからなかった。賑やかな往来を歩けば、纏っている制服のためか皆が奇異の目で見てくる。みんなみんなちょんまげ頭。でも観察しているうちにあることに気がついた。私をここまで連れてきてくれた青年の髪型は普通だった。肩にかかるくらいの髪を後ろでハニーテールしていて、身につけている着物も往来を歩く人達の着物とは一風変わっていた。そのときの私にはそれが何を示すのかは全くわからなかった。とにかく、まずは寝る場所を確保しなければならない。


でも、どうやって……











残り12名













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