06






私の身を救ってくれた海賊に船を下ろされた。おそらく私を助けてくれたのは単なる気紛れだったのだろう。これで自身で逃げ出す手間が省けたというわけだ。あとは生まれ故郷に帰るだけ。


私は帰郷に必要な道具を取り揃えるために、街を目指した。無一文ゆえ、まずはお金を貯めなければならない。身体がまだ本調子ではないためか、足元が心なしかふらつく。


「こりゃ、上玉だぜ!!」


「女ー!女あぁー!」


街にたどり着き、働くあてを探して通りをさ迷っていると、女の人たちの叫び声が辺りにこだました。何事かと叫び声がした方へ振り向けば、いかにも柄の悪い男共が逃げる女の人たちを捕まえていた。周りの人々はただ女の人たちが男共に乱暴に連れていかれる様を眺めているだけで一切止めようとはしない。異常な光景。


「待ちなさい」


私は腰に下げた短刀を引き抜くと、男共の前に立ちはだかった。ただ、目の前で起こる蛮行が許せなかった。


「おお、こいつは上玉だぜ」


吐き気のするような気持ちの悪い視線で私の身体をなめ回す男共。その視線を振り払って私は男の懐に飛び込み、どんどん切り捨てていく。しかし、やはり本調子でないのか足元がふらつき、遂には塞がったはずの傷も痛み出した。些か無理をしすぎたのかもしれない。それでも私は刃で男共を切り捨て続けた。


しかしいつか限界はくるもので、私の身体は立っているのがやっとなほどになった。長い間寝たきりだった、衰弱した身体では無理もないことである。







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