05





「降りろ」


次の島に着き、女を素早く船からおろした。女は最後まで表情ひとつ変えなかった。人形のような変化のない表情のまま、女は一言お礼を言うと、千鳥足のまま去っていった。


「あの子、あのままじゃ確実に死んじゃいますよ」


「知るか」


俺は忙しい。あんな女に構っている暇などはない。ログポーズのログが貯まるまで、船員たちに指示をだし、船の物資を供給する作業に掛かからせる。対する俺はというと、女を求めて歓楽街に一人向かう。


適当に女に声を掛ければ、喜んで俺に着いてきた。ぶらぶら街を適当に歩くこともしないで、真っ直ぐに宿屋に直行する俺たち。


「女ー!女だー!」


突然、歓楽街の何処からか悲鳴が挙がったかと思うと、いきなりいきり立った海賊共が暴れ始めた。海賊共の狙いは女らしく、次々と女共を無理矢理船まで引きずり、逆らう奴らを次々と殺していく。たまあに、自分たちの力量も知らない雑魚共がこういった騒ぎを起こす。


先程つかまえた女はどっかに逃げてったが、そんなものはまた後でいくらでもつかまえればいい。俺も一暴れしてやろうと、騒ぎの中心部に歩を進める。ちょうど中心部に差し掛かったとき、見覚えのある顔が必死で怯える女共を海賊共から守っているのが目に入った。俺は思わず目を開く。


「その人たちをこちらに返して!」


それは、先程船から降ろしたあの女だった。船から離れていく時の生気のない顔からは想像もつかない、鬼のような凄まじい形相で海賊共と相対している。勇ましく剣を振り回すも、痩せた身体が追い付いていけていないのか、額には珠のような汗。足元もフラついていて、もはや倒れるのも時間の問題といった様子だった。


なにやってんだ、あの女



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