変な女だと思ったのが
すべてのはじまりだった
04
「キャプテーン…」
俺が部屋で考え事をしていると、部下の一人が泣きそうな顔で近寄ってきた。理由を尋ねると、海賊とは思えない情けない一言が返ってくる。
「あの子を慰みものになんかできないっすよ」
泣きそうな顔してると思ったら、くだらねえ弱音が返ってきた。呆れてものも言えねえ。
「あの子変ですよ。俺たちが何しようとしても少しも嫌がる素振りを見せねんすよ」
「ヤル気も失せるっす」
あの墜ちてきた女のことは一回会ったっきり、一度も目にしていない。興味すらなかったからだ。船員たちの良い慰みものになれさえすれば何でもよかった。それが、どういうわけか船員たちはあの女を慰みものにすることが出来ないと言う。これではあの女を船に乗せておく意味が全くない。
「…ったく」
俺は立ち上がると、あの女を閉じ込めている部屋へと向かった。
「おい、」
女の部屋に入ると、ベッドに横たわる女と目が合った。
「こんにちは」
女は無表情で言葉を放つ。生気のない顔で見つめてくる女は、放っておけばすぐに死にそうなほどやつれていた。この際、見た目は気にしない。俺は構わず女の上に覆い被さった。
「抱くぞ」
女は驚く素振りひとつ見せないで俺に成すがままにされている。なるほど、これじゃあ確かにヤル気が出ない。
「女、てめぇ使えねえな」
「……」
女は俺の言葉が耳に入っていないのか、乱れた服のまま目蓋を閉じてしまった。これは重症だ。厄介なものを拾ってしまった気分。
「しょうがねえ…あんたには次の島で降りてもらうぜ」
女は眠ったまま返事をしなかった。
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