私はとある国の王家の姫として生まれた。小さな小さな国であったが、小さいながらも産業が栄えた豊かな国であった。しかし、そんな生活もある内乱によって脆くも崩れ去り、王家の血筋の者は皆惨殺された。そして母は死の間際に私に呪いを掛けたのだーー……


「この恨み決して忘れはせぬぞ!我が血を引く者によって必ずやおまえらを地獄へ……!」


その言葉がその後の私の頭を支配し続けるとは、その時は思いもしなかった。こうして、命からがら逃げ延びた私は王家の最後の生き残りとなり、母の言うとおりに復讐の道へと突き進んでいく。


そしてようやく、その復讐を果たすときが来たのだ。今日、この国の国王を殺す。もとは私の両親が治めていたこの国を、欲に目が眩んだこの愚かな男は、王家の血筋を絶やし、自らが王冠を手に入れたのだ。赦さない。









「名前、こちらへ来なさい」
「はい、仰せのままに、陛下」


私は国王の元へと近づいて行き、その首に手を絡ませて微笑んでみせる。国王はそんな私に嫌らしく笑うと自らの膝に私を乗せた。


「シンドバッド殿、私の可愛い美姫は如何かな」
「・・・・・・そうですね、まるで宝石のように綺麗だ」
「まあ、お上手ですこと」


私が褒められたことに気を良くした国王は大きな口を開けて笑う。ああ、吐き気がする。客人のシンドバッドとかいう男も、あんまり快く思っていないのか眉がさり気無く中央に寄っている。……それとも私の方を見ているのだろうか。目が合っている気がする。なんでだろう、あの男が私を見る理由などないに等しいだろうに……


その時は不思議に思っただけであったが、後に私はその男の視線の意味を知ることになるーーー……




定められた運命へと
(突き進むだけ)










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