「よお、姉ちゃん!どこから来たんだい!」 「・・・・・・海のずっとずっと向こうから」
シンドリア王国。私が殺して欲しいと頼まれた人物はこの小さな島国にいる。なんでもその人物は王宮内にいて、王のもとで働いているらしい。まあ、そんなことはどうでもよいのだけれど・・・・・・。王宮に入る術など魔法以外でも簡単に思い付く。私はこのとき、その人物を殺すことなど容易であると思っていた。その人物、アリババ・サルージャを・・・・・・
「君がアリババさんですか?」
ああ、簡単すぎる。王宮に物資を運ぶ人たちに混じって、王宮内に入り込むのはなんとも簡単なものだった。そして少し廊下を歩いたところで、お目当ての人物にさっそく、ばったりと遭遇してしまった。 アリババという人物はまだほんの少年であった。こんな少年がなぜ命を狙われているのかは、些か疑問ではある。しかし、それも私にはどうでもよいこと。
「私、あなたの大ファンなんです!」 「・・・・・・え、俺の?ていうか君はだれ?」
私が少年に走り寄ると彼は頬を赤らめて、頭をクシャリと掻いた。そんな少年に私は笑顔のまま、懐に忍ばせていた短剣を引き抜くと、容赦なく剣を振り下ろした。
「・・・・・・な!?」 「!?」
感触がない。どうやら仕留め損ねたらしい。少年は意外にも身軽で、私の行為に驚愕しながらもしっかりと避けきっていた。
「結構、やるのね」 「・・・・・・っく!」
アリババがいくら身軽だとしても、私には到底敵わない。私は剣一つでアリババを攻め込んでいった。次第に苦しそうに息を吐くようになっていく少年を見て、そろそろかしら、と私は留めを刺しにかかる。その時だった。
「やめなさい!」
少年の前に、どこから現れたのか、濃紺の髪した青年が立ち塞がっていた。
それはルフの導きか (私の邪魔をするのは誰)
← →
|