(ピーちゃんについて)




「そういえばシェーラさん。ピーちゃんは私がシェーラさんじゃないことをわかっているのでしょうか」


夢の中、私はふいに疑問に思ったことを聞いてみた。ピーちゃんが私に対してなぜあんなに優しく接してくれるのかは、ずっと気になっていたことでもあったしね。ピーちゃんは私にほんとうによくしてくれるし、呼べばすぐに来てくれる。もう心の友に成りつつあるんだから。


「ああ・・・・・・知ってるわよ。彼には私が違う世界に行くことを言ってあるから」
「え、シェーラさんってピーちゃんと話せるんですか?」
「んーー……たぶん人語は理解してるわよ!」
「たぶんってなんですか……」
「まあいいじゃない!なんでも!」
「いい加減ですね……」
「まあね〜!」


私は飽きれ顔でシェーラさんを見つめるが、シェーラさんはこういう人なんだったと改めて思い直した。それより、ピーちゃんと話せたらどんなにいいだろう・・・・・・。いつかお話出来たらいいな、と切実に思う。


「魔法で話せないですかね・・・・・・」
「私は話せないわ!」
「そうですよね・・・・・・でも世界は広いんですからきっとそんな魔法もありますよ」
「でもあの子が私たちによくしてくれる理由ならわかるわ」
「・・・・・・え!なんですか?」
「私たちのことが大、大、大好きだからよ!」
「・・・・・・根拠は、」
「ないわ!」
「ないんですか?なんかピーちゃんの危機をシェーラさんが助けたからとか・・・・・・」
「めんどくさいわ!」
「・・・・・・」


私はシェーラさんに聞こえるように、大きな溜息を吐いてみせた。めんどくさい、とは一体どういう意味なのだろう。そういう類いの美談はあるかもしれないが、話すのはめんどくさいということなのだろうか。シェーラさんがめんどくさがりなことにはここ何日かで気づいてはいたけれど、それくらい話してくれてもよいではないか、と思う。


「いつか教えてくださいね」
「めんどくさいわ!」
「・・・・・・じゃあ、もういいです」


そろそろ夜が明ける。夢から覚めてしまう。そのため、私はその件についてはもう触れたくなかった。そしてなにより、シェーラさんはそこらへんの話は一生してくれないと思う。なぜなら、めんどくさいから・・・・・・










(こうしてピーちゃんが優しくしてくれる理由は分からず仕舞い)
(でも日々の感謝の心は忘れてはいけないと改めて思った)