「ねえねえ昨日の新聞見た?」


「うん見た!あれ本当なの?」


「天使が出たって!」






見つかった世界





朝。私は学校を訪れて愕然とした。みんなの手にある新聞のある一面を食い入るように見つめる。新聞に載っていたのは間違いなく私が空を遊泳している時の写真だった。


「でも・・・・・・この子誰かに似てない?」


どきり、とした。私はその言葉を放った子の方に全神経を傾ける。亜子さんじゃない、とその子の側にいた誰かがポツリと言った。その言葉は関を切ったように瞬く間に噂として学校中に広まってしまった。何の力もない私はただその噂が広まっていくのを見ているしかなく、連日私の元に人だかりができるようになっても、どんなに新聞のことを問いただされても、知らない、と口を閉ざすことしか出来なかった。

別に見つかってもいいと思っていた。この世界には私がどんなことになっても迷惑を掛ける人なんて一人もいない。私が煮ようが焼かれようが心配してくれる人も一人もいない。だから別に自分のことなんてどうでもよかった。でも、実際その時になると得体の知れない恐怖が襲って来て、見つかるのが怖くなって、私はついに飛ぶことを止めた。