夏。


私は体育館で全国大会の様子を観ていた。全校生徒を集めて、全国大会を中継を見せるなんてマンモス校はすることが違う。






好きな世界





私の念願のテニヌの技が炸裂していて、私はもう大満足。彼らの人間離れしている技もびっくりだが、技名を本当に叫んでいるのにもびっくりした。でも全く違和感がないのが不思議。


こうして、氷帝学園は負けた。


ふと跡部のことが頭を過ぎった。他の部員たちももちろんそうだろうが、彼はさぞかしくやしいだろう。でも彼は負けても潔くてかっこよかった。
彼のことを思いながらひとり、苦笑してみる。私は『テニスの王子様』のキャラクターの中で誰が一番好きかと問われれば、間違いなく跡部景吾と答える。実際、元の世界にいる時は跡部景吾が好きで好きで仕方がなかった。なのに、いざ現実になってみると、なんだか跡部を見ているだけで満足している自分がいた。別に進んで関わりたいとは思わないのだ。
たぶん、漫画を通して彼を見ていた頃は彼の存在を身近に感じていたけど、この世界では別格の人になっちゃってるからだと、思う。至高過ぎて、手が届かない感じ。