その日、私は学校へは行かなかった。
急に悲しくなったのだ。
私は本当にもう一度元の世界に戻ることが出来るの?
出来なければ、私は一生この世界で過ごすの?





帰りたい世界






 私は布団に包まって泣いた。学校からの電話が鳴り響く中、静かに。元の世界には私の大切な大切な家族がいるんだ。お母さんお父さん兄弟たち。もう会えないの? また会える?
 私は泣きながら布団から這い出すと、飛ぶ練習をした。わあ、本当に飛べるすごい、などとは少しも思わなくて、私はただひたすらに練習した。やっぱり記憶を植えつけられたのか飛び方を知っていた私はすぐに上手に飛べるようになった。


 夜中。私は寒くないようにたくさん着込んで、飛び立った。行き先は私が住んでいた場所。ここが東京ならば帰り方は知ってる。私はただひたすらに飛んだ。
 着いた。でも私の家があるはずの場所に私の家はなかった。そこは確かに私の地元なのに、私の知っている風景はあまりなくて、私の家もなくて。ああ、ここは本当に異世界なんだな、とあらためて思い知らされた。私は泣きながら帰った。涙で前が見えないくらい泣いた。お母さん、みんな、会いたいよ。