私は家に帰ると、


白衣の男に電話をかけた






嘆きの世界






私にはまだオプションが一つ残っていた。彼はそれをいつでも好きな時に私が叶えられるようにと、連絡先を教えてくれていた。その連絡先とやらに私は電話をかけたのだ。


「やあ、君か。最後のオプションをつける気にでもなったのかい?」


男はいつものゆったりとした口調で私に問いかけた。


「いいえ。それより氷帝学園に転校生が来たことは知ってるでしょ?」


「ああ、僕が送ったんだよ」


男は思ったよりすんなりとそのことについて認めた。余裕で言い放つあたりがまた憎らしい。こっちはいろいろと必死なのに。


「その子にいろいろと聞いたの。あなた嘘をついてない?本当に機械は壊れているの?」


急に男の方が沈黙した。私はそれを訝しく思って、思わず声を荒げる。


「ねえ、機械は壊れてないのでしょう!?だったら私をそっちの世界に帰して!?」


尚も沈黙を続ける男に私は帰して、帰して、とそればかりを繰り返し言い続けた。


ぶつり


電話が切れた。その後、いくら男に電話をかけても繋がらなくなった。電話が切れる直前に男が笑った気がしたのは絶対に気のせいなんかではない。