あなたはいったい


どこからきたの






疑問を持った世界






春。


私たちは高等部へと進学した。それでも中等部の頃と学年以外何も変わらないためなのか、日に日に例の転校生の噂は激しくなっていった。あの跡部くんすらもだんだんと彼女に対する愚痴が増えていった。仕事を真面目にしないとか、それなのになぜか皆に慕われているとか、最初は他愛もない愚痴であったのに、その内容はだんだんと激しさを増していき、私にある疑問を持たせていった。


彼女はこの世界の人なのだろうか


まず私はそんな疑問を持った。跡部くんの愚痴からすると、その転校生の子はどうやらレギュラーの人全員に好意を持たれているらしい。しかも部内でも彼女に好意を寄せていないのは跡部くんくらいとのこと。最近はそのことに対して、彼女もイライラしているらしい。まあ、当然であろう。跡部くんだけは自分の思うようにならないのだから。跡部くんの容姿は並外れて良いからなおさらにね。


それにしても彼女の存在は不可思議だらけ。跡部くんのみを除いて皆に好かれているなんて普通のことではない。しかも女の子に嫌われているということは、人間的に好かれているのではないということである。まあ、一度会ってみないことには何とも言えないが……。一度一緒にお話ししてみたい。


そんなことを考え始めたある日。


私はその転校生と偶然廊下で鉢合わせしてしまった。確かにその容姿は誰もが可愛いというであろうものであったが、私はなぜか直感的に、彼女に対して嫌悪感を感じた。なぜだろう。わからない。私はまじまじと彼女を見つめた。その私の視線に彼女は気付いたのか、私と視線を合わせて微笑んだ。


「あら、あなた鈴木亜子ちゃんね」


「……!?」





どうして私の名前を知っているの