そうして私は


悲しみに飲み込まれた






支え合う世界







毎日悲しみに暮れるようになった私は、いつの間にか学校に行かなくなっていた。完全に私の精神は滅入っていたのだと思う。だから、玄関の前に立っていた時の彼の顔は今でも忘れられない。その時の私はきっと相当酷い顔をしていたのだろう。彼は瞳を見開いて、言葉を失っているようにも見えた。


「学校に来てないらしいじゃねぇか……」


彼、跡部景吾は静かに私に問うた。彼はいったいいつ合宿から帰って来たのだろう。それよりも、今の私はなぜ跡部くんがここにいるかの方が知りたい。


「なんで……」


跡部くんは私が問いたいことを察したのか、俺にわからないことはねえんだよ、と呟いた。それでは全く答えになっていないのだが、とりあえず理由はどうあれ、私はお客として彼を部屋の中に率いれた。


「何かあったのか?」


「……」


部屋に入って貰ったはよいものの、私たちは長い間沈黙の時を過ごした。その沈黙を破ったのは彼の方だった。でも、私は彼の問いに、答えることもなく目を伏せただけ。何があったなんてそんなの言える訳がない。それでも、私はそう聞かれたことが嬉しかったのだろうか。わからない。けれど、私の目からはいつの間にか大粒の滴が流れ落ちていた。




嬉しいの?悲しいの?今はわからないの