鬼に殺されかけてから、暫くの間はあの時の恐怖から自室にこもった。その間、やはり嫌でもいろいろと考えた。なぜ私はこの世界に来てしまったのか、とか、私が今こうしてここで生かされていることは奇跡に近いことだ、とか。風間さんが気まぐれを起こしてことは幸運だったとしか言いようがないんだ。今回、殺されかけていたところを助けてくれたのも、きっとただの気まぐれにすぎない。そしてこうして風間さんの気まぐれでもって生かされているのは本当に奇跡なのだ。
 では、風間さんが気まぐれを起こさなくなったら、私はどうなる? なんの取り柄もない私の存在が持て余される時がやってくる。その時に私の身に死にも等しい何かが降りかかることを私は恐れはじめた。ここで、このゲームの世界で生き残るためには、自身の存在意義を見つけるしかない。


第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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