告白







S.Yukimura said


名前に会う前―――



なまえの部屋を訪ねた


何故か呼び出しを受けたから


なまえは名前と同室


当然名前もいるものと思ったがいなかった


「名前は?」

「知らない。そのうち帰って来るんじゃない?」


適当に答える


きっと何か知ってるんだろうとは思うけど聞かない


「そう」

「あのさ、精市」


急に改まって何だろう


「多分名前は勘違いしてる」

「何を?」

「名前はあたしと精市が付き合ってると思ってる」


どうしてそんなこと…


確かに俺たちは仲が良い


でもそれは男女の関係としてではなくてただ幼馴染みだから


「何で?」

「知らないけど」


なまえは本当にわからないという素振りをする


名前は俺達が幼馴染みなのを知っているはずだから仲が良いのも納得するはずだ


それを付き合ってると思うなんて


「…精市はいつになったら名前に気持ちを伝えるの?」

「前にも言ったはずだ。俺は何も言わない」


決めたんだもう彼女を迷わせたくない


「いい加減素直になりなよ」

「…」


この言葉を何回言われただろう


俺だってそうできるならそうしたい


でもできないんだ


「仁王には悪いけどあの子が一番想ってるのは精市だと思うよ」


そんなことない彼女は俺といるときすごく辛そうな顔をする


「それに精市が一番想ってるのもあの子でしょう。だったら伝えるべきだよ」


伝えたいよ、本当なら


俺が名前を想ってること


「そう…かな。俺、よくわからないんだ。俺だって彼女に触れたいし、笑って欲しい。でも逆にそれが怖い」


俺の想いを伝えたいけど怖いんだ


触れたら壊れてしまいそう


笑っていても心の中は泣いているかもしれない


そう思うのが嫌だ


「そんなの誰だってそうでしょ。だから後悔しないようにしなさいよね」


後悔ね…


確かに今のままだと後悔しそうな気はする





―――S.Yukimura said END