喧嘩
朝起きていつも通り朝練の時間に登校する。
マネージャー室で着替えて部室に行くと幸村が出て来た。
「おはよー」
「おはよう」
幸村はあたしに見向きもせずに挨拶だけして出て行ってしまった。
「幸村…?」
幸村の背中を見つめる。
なんか機嫌悪かったような…。
おかしい。
あたしの知っている限り幸村という人間はどんなに機嫌が悪くてもあんな態度を取ったりはしない。
「どうしたんだろう」
昨日なんかあったのかな。
でも昨日はなまえと病院に行った。
その前は普通だった。
てことはなまえと何かあったってこと?
いや、でもあの2人に限ってそれはありえない。
喧嘩してるとこなんて見たこともないし。
かと言って他の部員とも昨日から今朝にかけては会っていないはず。
対人関係じゃないとしたら成績とか?
それもあの幸村にはありえない。
赤也じゃあるまいし。
「うーん…」
「何をうなってるんじゃ?」
急に背後から雅治の声がした。
いつの間にか雅治が部室から出て来ていた。
「あぁ、雅治、おはよう。別にたいしたことじゃないよ」
「…」
雅治はあたしをじっと見つめる。
「たいしたことじゃないのに朝練に遅れるぜよ」
時計を指差しながら言う。
って…おい!!
そんな悠長にしてる場合じゃないじゃん。
あと5分もない!!
ただでさえ今日は幸村の機嫌よくないんだから。
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