朝起きて今日別れを告げようと決めた


夜、名前を呼び出した


「すまんな。眠そうなんに」

「ううん。あたしも雅治と話したかったからいいの」


話したい…か


蓋を閉め直したいのかもしれん


でももうその必要はない


「俺…」


緊張する


告白した時よりももっと


俺が彼女にする最初で最後の詐欺


どうせなら嫌われる程の詐欺をしよう


その方が吹っ切れる


「俺、名前と別れたい」

「え…?」


驚く名前




「もうおまんと付き合ってると疲れるんじゃ」





―――――そんなことはない。一緒にいたい





「おまんを好きでいられん」





―――――嘘だ。この先もずっと好きだ





「それに俺、最初から本気じゃなかったしの」




―――――名前は俺が初めて本気になった女だ





「だから別れてくれ」




―――――本当は嫌だ。別れたくない





「そっか…」


落ち込んでるようにも見える


ごめんな


俺、こんなふうにしかおまんを手放せないんじゃ


「雅治、」


彼女は俺に抱きついた


「…」


ダメだ


諦めるって決めたんだ


そこで名前に意外な言葉が囁かれて俺の目からは涙があふれた


最後に俺も名前を抱きしめて俺はこの恋を終わらせた





『ごめんねは言わないよ。ありがとう。あたしは雅治の優しさがいつまでも大好きだから』




―――M.Nior said END