詐欺
M.Nior said
『ごめんね、あたし、やっぱり幸村が好きみたい』
そう言って名前は俺から離れていく
「名前!!」
目をあけるとそこはベッドの上
…夢か
「仁王君?」
「すまん、起こしてしまったかの」
「いえ」
柳生はまたすぐに寝息をたてはじめた
名前…
もう無理かもしれん
待つって言うたが待っても来ない気がするんじゃ
あいつは自分では気づいとらんかもしれんがいつも幸村を目で追ってる
俺の隣にいるときでさえ
好きって思ったら止まんないんは俺が一番わかっとる
蓋なんか簡単にできるもんじゃなか
じゃから俺は…名前と別れなきゃいかん
今のままじゃお互いのために良くない
別れて前に進まなきゃいけない
携帯が光っている
開いてみるとメールが2通
名前と…幸村から
2通とも一言だけ
『会いたい』
と
『ごめん』
俺にはその二言で十分だった
…とうとう告白したんか
じゃあ余計に彼女を苦しめたらいけない
もう彼女に俺は必要ない
「…別れよう」
俺はそう呟いて深い眠りに入った
←→