「名前はどっか部活はいる予定とかあんの?」

「部活か…。何も考えてなかった。なまえは?」


部活はやっぱ入った方がいいよね。


小学校のときは陸上をやってたから陸上かな〜。


なんて安易過ぎるかな。


「あたしは男テニのマネージャー。幼馴染から誘われてんの」


テニスか。


小学校の頃と違うものに挑戦するのもありかもしれない。


けどテニスとかルール知らないからダメだ。


やっぱ無難に陸上かな。


そう考えてるとなまえから突拍子もない提案が


「一緒にマネージャーやんない?あたし1人より名前と2人の方がはかどりそうだし」

「や、でもあたしテニスのルールとか全然知らないし」

「大丈夫。ルールなんてこれから知っていけばいいし」


そう言われてみればそうかもしれないけど。


あたしにとってテニスなんて未知の境地。


そんなとこに「はい、そうですか」って簡単に入部するわけにはいかない。


周りに迷惑をかけてしまう。


「なまえ、それくらいにしなよ。名字さん困ってるじゃないか。」


なまえの栗色の頭に手が置かれる。


その手の持ち主を見るとどこかで見たことのある黒髪ウェーブ。


「精市、おはよー」


セイイチ?


誰だ?


でも絶対どこかで会ってる気がする。


「はいはい、おはよう。名字さんもおはよう」


にっこり笑いかけてくるセイイチ君。


あたしも釣られて笑顔で挨拶を返す。


「そんなことより、名字さん。君、俺とどこかで会ってない?」


言いながらあたしの左隣の席にラケットバックを立てかける。


左隣はシアワセムラ(仮)の席。


てことがこいつがシアワセムラ?


「いや、わかんない…」


素直にそう返す。


てかシアワセムラなんて奴と会ってたら一発で気づくし。