「ちょっと、幸村!!」
「ごめんごめん。」
どう考えても謝る気が微塵も感じられない。
だって笑ってるんだもん。
「名前、元気なかったから」
まだ笑っている。
どうしてこの人はあたしのちょっとした変化に気づくんだろう。
元気ないって言ってもあからさまなわけじゃないはず。
雅治に言った不安が心に重く住み着いてるだけ。
「あたしが?元気だよ〜」
きっと空元気なんだろうな。
「名前」
急に真面目にあたしの名前を呼ぶ。
「俺だって3年間君を見てきた。だからちょっとの違いにも気付く」
「…」
「無理だけはしないで」
やめて。
あたしに優しくしないで。
気持ちの蓋が外れてしまう。
せっかく少しずつ平気になってきたのに。
「それにしても」
幸村が話を続ける。
「仁王と上手くいってるんだね。さっきすぐに仁王を探してた」
少し幸村の表情が変わった気がした。
「…うん」
「よかった」
何でそんな顔をするの。
そんな苦しそうな顔するなんて本心から言ってるように思えないよ。
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