「できることならあたしが変わりたい」


この言葉で俺の苛立ちは最高潮に達した。


「…帰ってくれ」

「え?」

「これ以上余計なことを言わないでほしい。俺と名前が変わったって何も変わらない。今更そんなこと言ったってしょうがないんだよ!!」


ガラにもなく大声を出す。


手術前で不安に思ってたからかもしれない。


「ごめん…。じゃあ…」


名前は呆気にとられた顔をして。


次に悲しみを浮かべて。


俺の病室を後にした。





俺の手術は成功して無事にテニスができるまで回復した。


ただ、今でも記憶に残る名前の顔。


勿論ちゃんと謝った。


名前は笑って許してくれたけど。


きっと今でも名前は忘れてないと思う。


俺が名前の気持ちを踏みにじったことは事実。


だから仁王には何も言えない。


俺は名前を傷つけてばかりだから。



―――S.Yukimura said END