その後のことはよく覚えていないまま放課後を迎えた。


部活に行く気もしなくて無断欠席。


気分で出ないとかいけないって雅治にこの前言ってたのに…。


きっと幸村怒ってんだろうな。


幸い屋上には誰もいなかった。


「はぁ…」


やっぱり幸村となまえは両想いだった。


それできっと2人は付き合い始めたんだろう。


あぁ…、玉砕か…。


やっぱり無謀だったんだ。


両想いなのに幸村を想い続けるなんて。


本当ならなまえから奪ってでも幸村と一緒にいたい。


でもそんなことはできない。


なまえは友達だから。


それに幸村は今、好きな人と結ばれて幸せなはず。


そんな2人の幸せを壊そうとは思わない。


だから仕舞おう。


あたしのこの気持ちを。


しっかり蓋をして友達として、仲間として2人と付き合おう。


あたしは2人が幸せならいいんだ。


あたしは真っ青な空にそう誓う。


「笑って2人を祝福しなきゃ…」


そう言いつつもあたしの頬には冷たい感触。


だから今だけは泣かせて。


「名前、また泣いとるんかの」


後ろから声が聞こえて振り返るとウェア姿の雅治。


「おまんはよう泣くな」


近づいてきてあたしを抱きしめてくれる。


あたしは涙を止めようとして鼻をすする。


「今は、好きなだけ泣きんしゃい。俺の前では強がらんくてもいい」


その言葉を聞いて堰を切ったように涙が流れ出す。


雅治のウェアを握りしめて泣く。


ごめん、雅治。


あたしは貴方に甘えてばっかだ。