それから雅治はいつも通りに戻った。


もうあたしを好きだとは言わない。


普通に接してくれる。


でもあたしはまだ雅治に普通に接することができないでいる。


勿論幸村関係の相談もしない。


普通って何?


あたしどんな風に雅治に接してたんだろう。


わからないよ。


「今度はどうした?」


朝練からの帰りに蓮二に問われる。


「え?何にもないよ」


蓮二は不思議そうな顔をする。


「顔が暗いぞ」

「嘘だー」


あたしはできる限りの笑顔。


ちゃんと笑えてるかな…。


「全くお前は…溜め込み過ぎるなと言っただろう。何があった?」


ダメだ。


雅治どころか他の人の前でも笑えない。


「うん、ちょっとね…」


ここでは言えない。


幸村や雅治が近くにいる。


そんなところで


『雅治に告白された』


などとは言えない。


「あとで話すよ」

「あぁ」


雅治が蓮二にデータ取られたくないのは知ってる。


けどでも今相談できる相手は蓮二だけだ。


雅治を除くとあたしの気持ちを知ってるのは蓮二しかいないから。