隣に座るあたしの方を向く。



「俺だって好きな女のことなら、らしくなくもなるぜよ」


え?


それはどういう…


「俺はおまんが好きじゃ」


苦しそうな顔であたしを見つめる。


「雅治…!?」

「謝るだけのつもりだったんじゃけどな」


雅治は乾いた笑いを浮かべる。


「でもあたし…」

「わかっとる。おまんが好きなんは幸村」


哀しそうに微笑みかける。


「別に俺の気持ちに応えなくてええ。俺が勝手に名前が好きで一緒にいたいだけじゃき。だからもし1%でも望みがあるのなら俺はおまんを好きでい続けたい」


そんな惨い…。


だって可能性があるかもわからないのに。


なのに雅治は期待し続けるの?


あたしは幸村が好きなのにそれをわかっていても…。


「あたしは幸村が…好き。雅治のことは好きに…ならない」


ごめんね、雅治。


あたしは雅治を期待させたままなんて惨いことできない。


だからはっきり言うよ。


「あたしは…雅治のことは好きにならないよ。だから」


小さく息を吸う緊張する中あたしは真っ直ぐ雅治を見る。


「諦めて…」


あたしは今どんな顔をしてるんだろう。


どんな顔で雅治にこんなことを伝えてるんだろう。


本当にごめん。


迷惑ばかりかけてるのにあたしは貴方の役には立てない。


「そーか。でも仲間であることには変わりはなかぜよ」


雅治は笑ってそう言ってあたしの頭を撫でた。