「…悪かった」


はい?


何が悪かったの?


あぁ、幸村連れてきたって嘘のことかな。


「じゃから今朝…。あれはちょっと八つ当たりじゃ。すまん」


今朝か…。


八つ当たり…。


でもあれは本心何でしょう?


「あんなこと思っとらんぜよ」


嘘だよ。


あの時の雅治の顔は詐欺師じゃなかった。


あれは雅治の本心だった。


「確かにあたしはよく幸村のこと考えてるよ」


それは認める。


だってあたしは彼のことが好きだから。


「でも同じくらいみんなのことも考えてる」


あたしが好きなのは幸村だけじゃない。


恋愛感情を抱いてるのは幸村だけど。


みんなのことも大好きだもん。


「あたしはマネージャーだよ?だからみんなのことも考えてる」

「わかっとる」

「じゃあどうしてあんなこと言うの?」


わかってるなら尚更。


「だから「八つ当たり何て雅治らしくない」


あたしは雅治の言葉を遮る。


今にも涙が溢れ出しそうな眼を目一杯開いて。


「雅治は八つ当たりなんてする人じゃない」

「はぁ…」


雅治は一つ息を吐いてあたしの隣に座る。


「名前」