M.Nior said



朝練のために部室で着替える。


勿論全員参加しているから幸村もいる。


「幸村、ちょっとええかの?」


真田や参謀と部室を出ようとする幸村を引き止める。


幸村と部室に2人。


「いいけど、朝練が始まるから急いでくれないか」


時間を気にしながら言う。


朝練なんか知ったこっちゃない。


俺にとってはそれよりも大事なことなんじゃ。


「なら単刀直入に言うぜよ。お前さんは名前のことをどう思っとるんじゃ?」


幸村の顔が少し強張った。


幸村の気持ちが知りたい。


名前に真剣なんかそうじゃないのか。


幸村はいつも名前を泣かす。


俺はそれが許せない。


俺の大事な女が泣かされるのを黙って見とれない。


名前が幸村を好きなんは知っとるし多分幸村も名前を好きだ。


それを確認したい。


両想いなら俺は身をひく。


「どうって…」


好きなんじゃろ?


知っとうよ。


早く言ってくれ。


そうすれば俺も諦められる。


「好き…だよ。でもそれは仁王もだろ」


俺が名前を好きなんはお見通しか。


「俺は身をひく」


驚きの言葉を言われる。


それは俺の台詞じゃ。


「俺が名前といても彼女を傷つけるし泣かせてばかりだ。彼女は俺といない方がいい」


何だよ、それ…。


俺といると傷つく?


あいつがどれだけ苦しんどると思っとる。


幸村となまえが両想いだと思って必死に自分の気持ちを押さえつけてるのに。


何でそれをわかんないんじゃ。


「何でそれを幸村が決めるんじゃ。それは名前が決めることナリ」

「仁王、俺は彼女が好きだから傷つけたくないんだ」


幸村は目を伏せる。


「情けないのう」


幸村がそんなに情けないなんて思わんかった。


俺の知っとる幸村はそんなに弱気な男じゃなかったはず。


「もう幸村には名前はやらん」


俺は名前を好いとう。


じゃから俺が幸せにする。