部活が終わってマネージャー室で着替える。
携帯を見るとなまえからメールがきていた。
『精市は何でもないそうです』
そう一言書いてあった。
幸村の定期健診の日はいつもなまえからメールがくる。
今までに一度も幸村から直接連絡が来たことはない。
部誌を書き終えてマネージャー室を出るといつも皆が待っていてくれる。
「みょうじから連絡は?」
「何でもないって」
弦一郎の質問にメールに書いてあったままの言葉で答える。
どーせなら皆にも連絡してあげればいいのに。
めんどくさいならせめて弦一郎だけにでもいいから。
そうすれば皆に伝わるし。
どうしてあたしにしか送らないんだろう。
しかも幸村本人じゃなくて付き添いのなまえから。
もしかして幸村はあたしとメールなんかしたくないのかも知れない。
普段の日常で幸村からメールが来ることは殆どない。
部内の連絡もあたしだけはなまえからくる。
他の皆にはちゃんと幸村からきているのに。
どうしてあたしだけが?
1度だけその疑問を蓮二に聞いてみたことがある。
「大方恥ずかしがってでもいるんじゃないか?」
幸村が恥ずかしがる?
ないない、絶対ない。
じゃあ何でなまえはオッケーなんだよ。
やっぱり幼馴染だから?
本当のことは本人にしかわからない。
蓮二も弦一郎も皆幸村と知り合ったのは小学校の頃。
それでも幸村の考えてることを全部わかるわけではない。
なのに中学から知り合ったあたしにそんなことわかるわけがない。
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