損
毎月1度あたしは悪夢を見る日がある。
そして今日はその日。
夢だってわかってるはずなのにいつも冷や汗をかいて起きる。
その夢は親友のなまえと幸村が同時にいなくなる夢。
勿論なまえは大切な人。
でも幸村もあたしにとっては大切なんだ。
そう気づいたのは幸村が倒れた中3の時。
その時あたしは自分が幸村のことを好きなのを自覚した。
だから一気に大切な人がいなくなる夢を見ることになる。
嫌な夢。
見たくないと思っても毎月見てしまう。
理由はわかってる。
今日は幸村の定期健診の日。
その日にいつもこの夢を見るんだ。
「名前さん、大丈夫ですか?顔色が優れませんが」
「あぁ、うん、平気。ありがとう、柳生」
今日心配されるのは何回目だろう。
なまえに朝一番に言われ、弦一郎や蓮二、雅治にも言われてる。
「無理をしてはいけませんよ」
一言言って柳生はコートに入っていく。
今日の部活は幸村となまえが不在の中始まった。
なまえは幸村の定期健診に必ずついていく。
理由は知らない。
でもきっとなまえにとって幸村が特別な存在だから。
そして幸村のなまえに対する目もまた然り。
別に2人は付き合ってるとかそういう関係じゃない。
でも2人が並んでいると周りとは違う空気を醸し出す。
「おっ前、元気ねぇな。ホントに大丈夫かよぃ」
柳生と入れ替わりでコートから出てきたブン太があたしの頭を叩く。
「平気だってば。叩くな、デブン太!!」
あたしはブン太の手をどける。
「なっ!!人が心配してやってんのに。なまえと幸村がいないからってサボんな、バーカ」
ブン太ってホントバカだよね。
そんな理由であたしがサボるわけないじゃん。
でもブン太なんかに気づかれたら逆にショックだけど。
「丸井、そうじゃなか」
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