早とちり



最近ふと思うんだけどあたしの彼氏はあたしを大切にしてくれないと思う。



だっていっつも部活部活でデートは断るし、帰る時間もあたしより遅いから一緒には帰れない。



「ブン太ってさ〜あたしと部活どっちが大切?」

「な!!…にを急に…!?」



ま、当然驚くよね。



だって付き合ってもう1年以上たってるしいきなりこんなこと言われたらね。



でもさそれくらい付き合っててデートらしいデートって1回しかしたことない。



ブン太が忙しいのは分かるよ。



だって常勝無敗(って言っても中3の時に負けたけど)の立海テニス部レギュラーだし。



練習がすごく辛いのも分かってるし毎日疲れてるのも知ってる。



でもさあたしとの時間って殆どないんだよね。



それってすごく寂しい。



「だってさこうやってブン太と面と向かって話すのさえ久しぶりなんだよ?うちら付き合ってるのに」



どうしてお互いに好きで付き合ってるのにこういう少ない時間しか会えないの。



今だってたまたま会ったから話してるようなもんだ。



「…悪ぃな。俺も時間作ろうとはしてんだけどよ」



そんなの嘘だよ。



ブン太は何もしてない。



最近では電話もしてくれないしメールだって少ない。



「忙しいのは分かってるけどさ…あたし…」

「悪ぃ。頼むから別れるとか言わないでくれよぃ」



は?



「俺、忙しいし、帰ったら弟たちがうるさくて電話とかもあんましねぇけど」



何故かブン太は焦っている。



「ちゃんとお前のこと、好きだから。」



焦りながら言うブン太が可愛い。



「ふふ…」



思わず笑ってしまう。



「え?」

「誰も別れ話なんてしてないじゃない」

「でも」



早とちりもいいところよ。



「あたしもブン太が好きだよ。だからあんまり連絡とかしてくれなくて寂しいって言おうとしてたの」



あたしの言葉を聞いてブン太はほっとしたように笑った。



「何だよ…びびらせんなよぃ。俺はてっきり…」

「ていうかむしろ、ブン太が別れてくれって言ったってあたしは絶対別れないから」



だってあたしブン太のことが大好きだからね。



END...


戻る