エープリルフール



夢を見た。


昔した約束の夢。



『ブンちゃん、私将来ブンちゃんのお嫁さんになる』

『おう!!約束だろぃ』



あれはもう10年以上も前だ。



何せ小学校にも入る前だ。



そんな昔のことを夢に見るとは思わなかった。



それもきっと俺が未だにあいつを好きだからかもしれない。



なのに



「ブン太、私、付き合うことになったんだぁ」

「は!?」



どういうことだよ。



お前はあの約束覚えてねぇのかよぃ。



「誰と!?」

「仁王」



マジかよ。



何で仁王なんだよぃ。



俺のことはもうどうでもいいのかよ。



「お前…約束…忘れちまったのかよ!!」



俺1人約束を信じてて馬鹿みてぇじゃん。



「約束……覚えてたんだ…」



俺は下を向く。



もういい。



もう諦める。



勝手に仁王と仲良くしてろよ。



「…っぷ、あはは。」

「?」

「嘘だよ。仁王となんて付き合うわけないじゃん」



俺は彼女の言葉で顔を上げて見る。



「私だって約束覚えてるんだから。今日はエープリルフールだよ」



彼女はイタズラっぽく笑った。







「ブンちゃん、俺と付き合うてるって言ったら真っ赤になって怒ったそうじゃな」

「なっ…なんで仁王が知ってんだよぃ…」

「提案者、俺じゃし」








END...



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