俺、激ダサ



「別れてくれ」



放課後に彼女を呼び出した。



別に嫌いとかそういうんじゃない。



こいつに告ったのは俺だし。



OKをもらって嬉しかった気持ちにも偽りはない。



けれど俺は見てしまった。



彼女が昨日、俺以外の別の男と歩いているのを。



その男は氷帝の生徒で多分同学年。



別に友達と歩くくらいいいと思う。



俺だってそこまで強要しない。



けどやっぱすごく親しそうに話してたのは流石にムカつく。



そして浮気を疑ってしまう自分がいる。



だから俺は別れを切り出した。



「…分かった」



彼女はすんなり了承した。



やっぱりあれは浮気なのか。



お前はもう俺のことが好きじゃないのか。



お前は未練すらないのか。



「亮、今までありがとう」



そう言って彼女は俺に背を向けて歩きだした。



途中ゴミ箱に何かを捨てる。



彼女は振り返らない。



それが辛かった。



彼女が見えなくなって俺も帰ろうとした。



途中でゴミ箱をちらと見る。



そこには綺麗にラッピングされた小さな箱。



リボンには『Happy Birthday Ryo』と書いているカードが挟まっている。



Ryoって俺のこと…



あいつ俺のこと好きじゃなくなったんじゃねぇのか…?



俺はその小箱を拾って開けてみた。



中にはシルバーネックレスと小さくたたまれた手紙。



『亮へ
 誕生日おめでとう
 たいしたものじゃないけどプレゼント
 亮に似合うと思うよ
 クラスの男子に付き合ってもらって
 買いに言ったの
 これからもよろしくね』



女らしい丸っこい字で書いてある。



俺はつまりこれを買いに行くところを目撃したのか。



これからもよろしく…?



てことはあいつは俺のことをまだ好きでいてくれているってこと。



なのにそんな彼女をフってしまった俺は…



「激ダサだな…」



俺は1人そう呟いて彼女を追うように走りだした。



END...


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