人生で4度目の失恋。



好きな人を忘れようとして付き合った。



でもやっぱりそんなの続かないんだ。



わたしがフられる日は決まって雨が降っている。



だからわたしは雨が嫌いだ。



「また、今日も雨…」



この真夏の時期に似合わない雨。



どうして今日という日が雨なんだ。



傘なんて持ってるはずがない。



靴を履き替えて見上げる。



どんよりとして薄暗い。



雨が上がる気配は毛頭無い。



「しょうがない。濡れて帰ろう」



呟いて屋根の下から一歩踏み出す。



鞄に、Yシャツに、スカートに次々とシミができていく。



家へと歩き出す。



わたしの家はなかなか遠い。



次第に髪の毛が肌にへばりついていく。



暑い。気持ち悪い。



どうしてわたしばかりこうなんだ。



彼氏にはフられて、雨に濡らされて、何も良いことがない。



あぁ、涙が出てきた。



涙と共に嗚咽さえも漏れる。



「もう嫌だ」



わたしは道端で足を止める。



「何がですか?」



急な声に見上げれば同じクラスの柳生君がわたしを傘に入れてくれている。



そんな彼の肩は濡れている。



「放っておいて。柳生君には関係ない」

「女性が雨に濡れているのを放っておけるわけないじゃないですか」



優しくしないで。



弱いわたしはその優しさに甘えてしまう。



「…」

「家はどこです?送っていきます」



やめてやめてやめて



わたしをひとりにして。



貴方の優しさにつけあがりたくない。



「本当に放っておいて」

「貴女は、私が、好きな女性が泣きながら濡れているのを放っておけるとお思いですか?」



柳生君…



「さぁ、わかったら行きましょう。風邪ひきますよ」



手をさしのべてくる。



この手をとってもいいのかな。



わたしはまた繰り返すことになる。



ここで手をとってしまえば柳生君を苦しめる。



だってわたしは彼の相棒が好きなんだ。



柳生君を利用して傷つけて、わたしは結局また被害者ぶるんだ。



そんなの嫌だ。



同じ過ちを繰り返してはいけない。



「柳生君、ありがとう。でも大丈夫だから」



わたしは彼の傘から出て走り出す



戻る